捨てられるはずだったワインボトルをアートの力で生まれ変わらせる。~ 若き芸術家たちのサステナビリティへの挑戦 ~ / news / By sommelier-user プロジェクト発足の背景 「ワインボトルをアートの力でアップサイクル」 日本におけるワインの消費量は年々増え、2021年の統計では約33万5千キロリットル、ワインボトルに換算するとおよそ4億7千3百万本ものワインが1年間で消費されています。 消費量が増えているということは、廃棄されるボトルも増え続けているということ。 飲み終えたワインボトルをなんとか有効利用できないか、これからも人々が楽しくワインを飲み続けるために果たせる社会的責任はどんなものだろうか、そう考え始めた人々が集い、処分されてしまうワインボトルをアート作品として生まれ変わらせる『ワインボトル アップサイクル プロジェクト』が発足しました。 「アップサイクル」というプロジェクト名には、ワインボトルを再利用するだけではなく、人々の暮らしの豊かさに寄与する、より魅力ある形で社会に還元していきたい想いが込められています。 数多くの女性美術家、デザイナーやクリエイターを輩出している〈女子美術大学〉の学生と、東京 六本木に本社を構え世界16ヵ国のワインを輸入販売している〈株式会社ソムリエ〉、そして本プロジェクトの理念に共感してくださったシャンパーニュメゾン〈Paul Dangin Et Fils(ポール・ダンジャン・エ・フィス)〉の協同のもと、動き出した『ワインボトル アップサイクル プロジェクト』。 株式会社ソムリエが運営する飲食店や東京近辺の飲食店で出た廃棄予定の空瓶を回収し、女子美術大学の学生たちが各々の作品に仕上げ、商品として展示・販売までを目指し始めたものの、すぐに様々な障害に直面しました。 まず一つに、創作の原料となる空瓶の回収です。 日本にはこんなにもワインボトルが溢れているにもかかわらず、継続的に空瓶を回収することが意外にも難しい現実がありました。 そして何より、創作資金の捻出です。 本プロジェクトを持続可能な活動とするためには、アーティストであり学生である作り手たちが、商品として作品を世に送り出せるための安定した創作活動の継続が大事です。 創作活動に多くのコストがかかることは知られていますが、例えば『ワインボトルリサイクルプロジェクト』ではまずワインボトルを原料となる形にするための加工が必要になるなど、創作の過程で様々なコストが発生します。 今、少しでも興味をもって読んでいただいている方にお伝えしたいことは、私達にはワインの空瓶と、創作のための資金が足りていません!ということです。 今回もしご共感いただける場合は、お送りする美味しいシャンパーニュを楽しんだあとに、ぜひその空瓶をご返送ください。 現状 1.アーティストたちの創作活動 工芸専攻ガラス分野の学生は、作品制作・研究にあたり、多くのガラスが材料として必要となります。しかし、今ガラス素材の値上がりと資源不足で、その材料を手に入れること自体に苦労している現状があります。 美術大学の学費は、一般大学の倍以上かかるところも多く、高額の学費に加え、自分の作品制作に使う材料の費用の負担がさらに加わり、学生の負担は大きくなっています。 そして、美術大学を卒業し、芸術家として活躍できる人材も一握りという厳しい世界の中、在学中に学外で作品を披露したり販売したりなどの機会があまりないのも現状です。 この現状から、学生の負担軽減と学外での様々な経験の機会が求められています。 2.ワインボトルリサイクルの実態 現在、日本へは年間で約26万トンほどのガラスビンが酒類製品の容器として海外から輸入されています。 ワインや洋酒などの輸入酒類のガラスビンは国内で生産されるビールなどに使われるビンと異なり、そのほとんどはリターナブル(再使用可能)ではありません。 各自治体などによって回収された飲み終わった後の空ビンは分類・破砕などの過程を経た後、新しいガラス製品の原料や、その他用途として再使用されますが、そのリサイクル率は約70%程度とされています。 (2023年度、出典:ガラスびん3R促進協議会) 我々は今回、本プロジェクトを進めていく中で、特にワインボトルのような輸入商品に使われるガラスが、その素材の特性からリサイクル率の向上が容易ではないという事実を改めて認識しました。 加えて、近年の原材料価格の高騰によって、日本国内のみならず、ワインの生産国である諸外国でも、ワインボトルの価格高騰や入手が困難となる事例が発生しています。 限りある資源であるガラスを有効活用し、再使用できずに廃棄される運命を辿るガラスを減らしていく取り組みと共に、より価値のあるものへ形を変える、つまりリサイクルからアップサイクルへと変えていくことが求められています。 これまでの取り組み ワインボトルリサイクルプロジェクトのスタートとして、女子美術大学の芸術学部デザイン・工芸学科工芸専攻ガラス分野の学生12名により、ワインボトルの素材を用いた作品の創作と、そのお披露目として女子美術大学・相模原キャンパス内にある「SWITCHLabo」にて作品の講評会を開きました。 今後、本プロジェクトでご支援いただいた資金をもとに更なる創作を進め、一般の方々への展示・販売と、販売で得た収益の学生たちへの還元、NPO法人を通じた障害者団体への寄付を目指していきます。 ~ 講評会を終えた学生たちの声 ~ “ワインボトルの回収は、一人一人に対しては小さいことだが、何か不思議な未来を引き出せるかもしれない。私が今回作った作品も、もしかしたら何かを変えられるかもしれないという思いがあります。” “ワインボトルの素材に初めて挑戦し、難しい部分が多く苦戦したが、もっと挑戦したいことがある。次はもっとこうしてみたい。” プロジェクトメンバーの紹介 【学校法⼈⼥⼦美術⼤学】 ⼥⼦美術⼤学は、「⼥⼦美」の名で知られ、⼥性に対して⾼等教育機関における美術教育への⾨⼾が開かれていなかった明治33年(1900年)に、「芸術による⼥性の⾃⽴」、「⼥性の社会的地位の向上」、「専⾨の技術家・美術教師の養成」を⽬指して、美術教育をおこなう学校として創⽴しました。 以来、数多くの⼥性美術家、デザイナーやクリエイター等を輩出しています。 【Paul Dangin(ポール・ダンジャン)】 シャンパーニュ地方の南東側、コート・デ・バール地区のセル・シュール・ウルスに、1947年に設立されたメゾン。 創始者ポールの哲学のもと、少人数の家族経営を頑なに守っており、今ではシャンパーニュ地方最大の家族経営メゾンとなっています。 確かな品質の下、シャンパーニュに特別な影響力をもつ英国王室御用達「ロイヤル・ワラント」の名誉に与っており、唯一家族経営のシャンパーニュメゾンとして英国王室へワインを提供しています。 【株式会社ソムリエ】 東京 六本木に本社を構え、ワインの輸入・販売、ワインショップおよびECサイトの運営、卸売、直営直営飲食店の運営を展開する「ワインと食の総合企業」。 創業以来、世界各国の生産者から自分たちでワインを輸入し、お客様へ直接販売をする「直輸入・直販」のスタイルにこだわっています。ワインに最適な運搬・管理を通して “現地の味わいと品質をそのままに” 世界16ヵ国100の生産者から2000を超えるワインを取り揃えています。 株式会社ソムリエでは、ワインの販売とサステナビリティを繋げる活動を⾏っています。 通常廃棄されてしまうコルク・ボトルのリサイクルや教育の場での活⽤など社会への貢献を⽬指し取り組んでいます。 〈 株式会社ソムリエと女子美術大学のコラボレーション事例 〉 ~「⽇本・アルゼンチン外交関係樹⽴125周年」記念ワイン ~ 2023年の「⽇本とアルゼンチンの外交樹⽴125周年」を記念し、産学官連携プロジェクトとして、駐⽇アルゼンチン共和国⼤使館協賛のもと、⼥⼦美術⼤学・⼥⼦美術⼤学短期⼤学部、アルゼンチンを代表するアートワイナリー「CLAROSCURO Bodega de Arte(クラロスクーロ ボデガ・デ・アルテ)」と協⼒し、外交樹⽴125周年記念ワインの開発と販売を行いました。同ワインのラベルを⼥⼦美術⼤学の在校⽣・卒業⽣により、“No Border” をテーマとしたデザインコンテストを⾏い、最優秀作品を記念ワインのラベルに採⽤し現在も販売しています。 今後の展望 1.フランス大使館開催イベント「フランスナイト」での作品展示 フランス大使公邸にて開催されるフランスイベント。テーマは、「Art繋がりとなる“印象派”」。 英国王室御用達のシャンパーニュ「ポール・ダンジャン」のボトルで学生が作ったアート作品を展示します。 2.メディアでの特集掲載 女子美術大学の学生とフラワーアーティストがコラボし、ワインボトルをもとに制作した「花器」を使用したフラワーアレンジメントを某著名雑誌に掲載予定です。 3.作品展示会の開催とサポーターの皆様へのお披露目 今回のプロジェクトでご支援いただいた資金をもとに、都内にてサポーターの皆様へのご報告と作品展示会及び販売会を開催予定です。 詳細については、サポーターの皆様に随時お知らせ、無料でご招待させていただきます。 関係各位よりのメッセージ Jean Baptiste(ジャン=バティスト:Paul Dangin Et Fils 3代目当主) この度、我々 ポール・ダンジャン・エ・フィスがこの素晴らしいプロジェクトの一員として参加できることを大変光栄に思います。 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、近年シャンパーニュ地方でも「持続可能な発展」というのはどの生産者も非常に関心を寄せているテーマの一つです。 我々のメゾンにおいても、自然派栽培の手法を取り入れ、環境に負荷をかけず、代々受け継いできた伝統あるメゾンを後世へ伝えようとしています。 そして、シャンパーニュやワインに関する、様々な資材についても、時代の変化と共に非常に注目しています。 メゾンでも、資材価格が約1.5倍に高騰する中、少しでもワインの品質を守る性能は変わらず、かつ輸送時のCO2を削減できるような軽量なボトルへの切り替えにも取り組んでいます。 我々、ひとりひとりの小さな試みがやがて大きな効果を生むこと、そして若い世代の皆様の活躍を支援できることを願っております。 加藤尚子(女子美術大学 准教授) 「ワインボトルを素材として、食卓で使用するアイテムを表現する」という課題で授業を行いました。好きなものを制作するだけでなく、ワインボトルという素材の研究や、またその背景についてもリサーチし、破棄されるボトルを社会の中でどのように機能させるかを考えさせることが狙いでした。ガラス素材は年々高騰し、主な素材としての砂や金属は地球環境の限りある資源であり、リサイクルは今後の課題でもあります。また、食卓で使用するアイテムを表現することで、日常生活を豊かにすることを提案してもらいたいと考えました。 ガラスは膨張係数がそれぞれのガラスにより異なるため、異なるガラスを一緒に熔かし合わせると割れてしまいます。同じ緑色のワインボトルでも、製造する工場によって膨張係数が異なるため、熔かし合わせて再生することは出来ません。 しかし、大学や個人工房のように、小さいロッドで行うのであれば、同じ工場で作られたボトルを回収し、再生する可能性はあると考えました。 素材が同じであれば、ガラスは溶かして形を変えることが出来る素材です。失透という現象は、物質が変化することで割れやすく扱いづらい要因でもありますが、学生たちはそこに面白さや美しさを感じ、作品の表現へと繋げていきました。この授業を通して、生産性や効率に重点を置かずに探求出来る、学生だからこそのアイデアが沢山生まれました。 今後も様々な可能性について、皆で探求していきたいと考えています。 古澤慶太(株式会社ソムリエ 取締役) 長らく事業者としてワインを扱ってきましたが、ワインがすべて再利用可能なもので造られているにもかかわらず、様々な制約の中で充分に活かされていない現状を非常にもったいなく、口惜しく感じておりました。 ワインを事業とする企業が果たせる社会的責任を常々考えていた中で、同じような理念や危機感を持ち、志をともにする方々にご参集いただけたことは大変にありがたく感じております。 兼ねてより弊社とパートナーシップを築かせていただいているポール・ダンジャン・エ・フィス、そしてこれまでもいくつかのプロジェクトを共にし良きご縁をいただいている女子美術大学の皆々様とともに、今回のプロジェクトが持つ可能性を開花させ持続可能な社会に寄与する一端となれましたら嬉しく思います。 ご支援コース ※ 確定ではございません。プロジェクトがスタートする際に、改めてメールにてご案内させていただきます。 3,000円: サポーターとして公式サイト記載(ご希望の方のみ)、御礼メール、展示会ご招待、プロジェクト報告 ※ワイン無しのコースです 10,000円: シャンパーニュ1本(ブリュット・ダンジャン・フェイ)、 サポーターとして公式サイト記載(ご希望の方のみ)、御礼メール、展示会ご招待、プロジェクト報告 30,000円: シャンパーニュ3本(ブリュット・ダンジャン・フェイ)、 サポーターとして公式サイト記載(ご希望の方のみ)、御礼メール、展示会ご招待、プロジェクト報告 50,000円: シャンパーニュ6本(ブリュット・ダンジャン・フェイ3本/キュヴェ・ジャン・バティスト3本)、 Specialサポーターとして公式サイトに掲載(ご希望の方のみ)、御礼メール、展示会ご招待、プロジェクト報告 100,000円: シャンパーニュ12本(ブリュット・ダンジャン・フェイ6本/キュヴェ・ジャン・バティスト6本)、 Specialサポーターとして公式サイトに掲載(ご希望の方のみ)、御礼メール、展示会ご招待、プロジェクト報告