『シャトー・クーテ』来日記念セミナー “LE TRIANGLE D’OR”(黄金の三角形)

Mis.Aline Baly from
Ch.COUTET "LE TRIANGLE D'OR"

『シャトー・クーテ』来日記念セミナー “LE TRIANGLE D’OR”(黄金の三角形)

株式会社ソムリエでは、2024年7月29日(月)ソーテルヌ格付け1級の「シャトー・クーテ」の現オーナーのAline Baly氏をゲストに招き、生産者来日記念 特別セミナーを実施いたしました。
当日は、シャトークーテの4つの傑出したヴィンテージの垂直テイスティングを通し、“LE TRIANGLE D’OR -黄金の三角形- ”と形容されるテロワールから生まれるバルサック第1級「シャトー・クーテ」の真髄をご体感いただきました。

【セミナー内容】

・バルサックについて

ソーテルヌはボルドー生産量のわずか1%。
低い温度のシロン川が、ガロンヌ川とぶつかる場所で、温度差により霧が発生する。
霧によりぶどうに貴腐菌(ボトリティス・シネレア菌)が付きやすくなる貴重なエリア。
ボトリティス・シネレア菌がただの甘さだけではない複雑さを生み出す。

バルサックはソーテルヌの区画のうち24%。
北のエリアなので、他のソーテルヌ地区と比べて酸が際立つ。

・バルサックと一般的なソーテルヌの土壌の違いについて

土のサイズ感が違う。
ソーテルヌ 砂・砂利が中心 熱を持ちやすい。水はけが良い。
バルザック 石灰質 熱を持たない。水分を保つことができる。
バルザックのテロワールの特徴 フレッシュさ。

・シャトークーテの歴史

ワインの生産を行ったのは1643年 13世紀ごろからイギリスの要塞(城)があった。
1643年以降4つの家によって統治、ディケムも持っていた。
現在のファミリーは、1977年にクーテを購入。アリーンさんは2008年に入社 叔父と共同経営。

・クーテのミッション「バルザックの品質と味を表現」

フレッシュさ、味の豊かさ、強さを大切にしている。
クーテ:フランス語でナイフを意味する。=フレッシュさが切り込む という意味。
クーテの敷地は43ヘクタールで、セミヨン75% SB23% ミュスカデル 2%
メインはセミヨンだが、石灰質の層が厚い場所でSB 粘土質の場所にミュスカデルを植えている。
セミヨン:ベース
SB:柑橘の風味
ミュスカデル:上質さ
(クーテはミュスカデルに最適の粘土質の土地があったため植えた。バルザックでミュスカデルを栽培しているシャトーは少ない。)
平均樹齢は52年

・ペアリング

フランスでは伝統的にアペリティフ(トリュフや青かびチーズ)と合わせる。
地元ソーテルヌではローストチキンに合わせることが多いイギリス風の伝統デザート代りに甘いワインを楽しんでいた。
シャトークーテは、殻がついているシーフード、白い色の肉、若いワイン、スパイシーな料理との相性が良い。
辛い物とのコントラストが際立つ。
他には葉巻との相性が良い。

【テイスティング】

① OPALIE DE COUTET 2022(オパリー・ド・クーテ 2022)

2010年から作り始めた辛口キュヴェ。
作った理由 バルサック特有のテロワールだけを反映するワイン。
93%SB 樹齢50年 7%セミヨン。樹齢57年
オパリー専用の特別な区画のぶどうだけで作る。

例年はセミヨンがもっと多いが、22年は傷ついたセミヨンが多かったのでSBが多くなった。
オレンジ、シトラスに加えてジンジャーらしさが加わっている。

【シャトー・クーテ 垂直テイスティング】

② CH.COUTET 2015

収穫の時期としてはよくあるパターンだが、収穫を10回行った。(通常は6回)
長い時間で収穫をを行ったため複雑。
暑くて乾燥した夏の後に菌が付着。
アプリコットが際立った味だが、最後にジンジャーの味。

③ CH.COUTET 2009

アリーンさんがクーテに入社して初めて作り上げたVTなので、印象深い。
夏が暑く長かった。9月まで暑かった。(インディアンサマー)
短期間で貴腐菌がついた年。
パワフルで濃密だが、、クリアでスパイシーな味わい。

④ CH.COUTET 2005

近年、バルサックとソーテルヌの気候は一貫していることが多い。
収穫は10月3日 通常より遅くなった。
湿気がないと菌が付着しないため、雨を待った。
遅く収穫するのはリスクにつながる。11月の雨は量が多いため。味わいが薄まる危険。
石灰質によるミネラルさが強調。

⑤ CH.COUTET 1990

1988、1989、1990の3年は世紀のVT。歴史的な3年間。(Triple  Hisitoric)
非常に長く暑く乾燥した夏、貴腐菌の付着が良かった。

古いヴィンテージになるほどドライに感じるが、糖度は変わっていない。
ミネラル、ジンジャー感が増してくるため、ドライに感じる。
ドライフルーツのような味わい。

【特別テイスティング】

⑥ CH.COUTET CUVEE MADAME 2003

特別なワイン。1943年以降20回しか作っていない。
2003年は14番目のVT。
年に200本しか生産しない。
以前は通常のクーテとラベルが似ていたが、2003年からラベルを差別化した。
濃密だが、酸味、爽やかさ、フレッシュさが特徴、成熟してもフレッシュさを失わない。